医師 | 診療内容等 | 診療実績 |
耳、鼻、口腔、咽頭の疾患、声の異常、頚部の腫瘍の他、めまい、顔面神経麻痺、唾液腺疾患を担当します。
頭頸部癌(口唇および口腔、鼻腔および副鼻腔、咽頭、喉頭、唾液腺に発生する癌)は、胃癌、大腸癌、肺癌などと比較してその発生頻度は低く、全癌のおよそ5%で、2007年の罹患率は人口10万人あたり8.9人です。頭頸部には咀嚼、嚥下、発声、呼吸など、生活機能に重要な役割を果たす臓器が多く、これらが障害されると患者さんの生活の質に深刻な影響を及ぼします。したがって、頭頸部癌に対する治療では、癌の根治と機能温存を両立させることが重要で、 病期分類や組織学的分類に応じた集学的(しゅうがくてき)治療(手術療法、化学療法、放射線療法などを総合的に組み合わせた治療)を行っています。進行癌症例、高齢者や合併症を有するリスクの高い患者さんにおいても詳しい検討をして、根治的な治療を心がけております。腫瘍の摘出を確実にするために、大きな腫瘍では拡大手術が必要となりますが、摘出したあとの欠損部に対しても形成外科、外科の協力のもと遊離皮弁あるいは有茎筋皮弁を用いて再建手術を行い、術後の形態や機能を保ち、患者さんの治療後の生活の質を維持できるように努めております。また、電子内視鏡システムの性能が向上から咽頭で癌細胞の浸潤が上皮下層にとどまる表在癌がみつかるようになっております。このような癌に対しては治療内視鏡科と共同でより侵襲の少ない彎曲型喉頭鏡を用いた経口的な切除術(ELPS endoscopic laryngo-pharyngeal surgery) を行っています。
中耳手術では山形大学欠畑教授の指導の下で、より低侵襲な手術をめざし経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES transcanal endoscopic ear surgery) を積極的に導入しております。 人間の姿勢のバランスを保つ機能をつかさどる場所の一つが耳の中にある三半規管と前庭(耳石器)で、これらの機能に異常を来すとめまいが起きます。三半規管と前庭の隣には、聞こえに関係した蝸牛があるので、めまいと難聴は同時に起こりがちです。 めまいを起こす病気は内耳疾患の他に、小脳や脳幹などの異常をきたす脳神経の病気などがあり、中には緊急を要するものもありますので、MRI, CTなどの緊急の画像検査や試験的鼓室開放術にも対応しております。
難治性の副鼻腔炎に対しては内視鏡を利用して鼻の中からの手術を行っております。副鼻腔は複雑な構造をしており、眼球、視神経、頭蓋底に近接しているため、手術の難易度が高い方の場合は、安全に手術をおこなうためにナビゲーションシステムを導入しております。これは、手術中に器具の位置を術前に撮影したCT画像上に表示させるものです。
睡眠時無呼吸症候群の頻度は、成人男子で4%で、放置すると高血圧、心筋梗塞、脳卒中の引き金になることがわかってまいりました。当院では睡眠障害の客観的把握と障害の程度をチェックするため、自宅で行う簡易検査、1泊入院での終夜睡眠ポリグラフィー検査を行っております。原因・程度に応じて、鼻腔や咽頭の手術、口腔内装具、減量指導、CPAP(持続的気道陽圧)器機による治療をおこなっております。
2017年1月~12月手術数
耳科領域 | 手術名 | 件数 | 鼓室形成術 | 18 |
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鼓膜チューブ挿入術 | 30 | |
人工内耳手術 | 0 | |
アブミ骨手術 | 0 | |
顔面神経減荷術 | 0 | |
先天性耳瘻管摘出術 | 7 | |
外耳道形成術 | 2 | |
鼓膜形成術 | 6 | |
乳突削開術 | 9 | |
試験的鼓室開放術 | 0 | |
中耳根本術 | 0 | |
内リンパ嚢開放術 | 2 | |
聴神経腫瘍摘出術 | 0 | |
その他 | 5 | |
計 | 79 |
鼻科領域 | 手術名 | 件数 | 内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅰ | 7 |
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内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅱ | 8 | |
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅲ | 32 | |
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅳ | 81 | |
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅴ | 0 | |
鼻中隔矯正術 | 33 | |
鼻甲介切除術 | 20 | |
視神経管開放術 | 0 | |
涙嚢・鼻涙管手術 | 0 | |
眼窩吹き抜け骨折手術 | 0 | |
顎・顔面骨折整復術 | 0 | |
その他 | 5 | |
計 | 186 |
口腔咽喉頭・ 頭頸部領域 |
手術名 | 件数 | 扁桃摘出術 | 57 |
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舌、口腔、咽頭腫瘍摘出術 下記 1)-5) の計 | 36 | |
1)口蓋垂・軟口蓋形成術 | 0 | |
2)舌・口腔良性腫瘍摘出術 | 8 | |
3)舌・口腔悪性腫瘍摘出術 | 12 | |
4)咽頭良性腫瘍摘出術 | 14 | |
5)咽頭悪性腫瘍摘出術 | 2 | |
喉頭微細手術 | 39 | |
嚥下機能改善手術、誤嚥防止手術、音声機能改善手術 | 1 | |
喉頭形成術 | 0 | |
喉頭截開術 | 0 | |
その他 | 5 | |
頸部郭清術 | 26 | |
頭頸部腫瘍摘出術 下記 1)-13) の計 | 66 | |
1)顎下腺良性腫瘍摘出術 | 6 | |
2)顎下腺悪性腫瘍摘出術 | 0 | |
3)耳下腺良性腫瘍摘出術 | 15 | |
4)耳下腺悪性腫瘍摘出術 | 1 | |
5)甲状腺良性腫瘍摘出術 | 5 | |
6)バセドウ病手術 | 0 | |
7)甲状腺悪性腫瘍摘出術 | 2 | |
8)鼻・副鼻腔良性腫瘍摘出術 | 5 | |
9)鼻・副鼻腔悪性腫瘍摘出術 | 1 | |
10)喉頭悪性腫瘍摘出術 | 3 | |
11)リンパ節生検 | 22 | |
12)頸部嚢胞摘出術 | 5 | |
13)顎下腺摘出術 | 1 | |
その他 | 5 | |
計(※再建症例 14例含む) | 230 |
その他 | 手術名 | 件数 | 食道異物摘出術 | 2 |
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気管異物摘出術 | 0 | |
異物摘出術(外耳・鼻腔・咽頭) | 3 | |
気管切開術 | 34 | |
計 | 39 |
合計 | 534 |
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