理事長挨拶

島貫隆夫 顔写真

 「地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構」は、平成20年4月に山形県と酒田市により共同設立され、急性期の「日本海総合病院」と回復期を主体とする「日本海酒田リハビリテーション病院」の2つの病院の運営にあたっています。また、平成30年4月に新たに酒田市から移管統合された日本海八幡クリニック及び市内5診療所の運営も行っています。
 さらに、同年4月には、当法人が中心となり、医療・介護・福祉の切れ目のないサービスを将来にわたり地域に安定的に提供することをめざし、地域医療連携推進法人日本海ヘルスケアネットを設立いたしました。これまでの皆様のご理解とご協力に心より感謝申し上げます。
 この度、当機構は令和6年度からの第5期中期計画のスタートにあたり、基本理念の一層の浸透を図るため、患者さんや地域の皆様、職員同士についても、相手の視点に立ち、思いやりの心を大切とした、より明確でわかりやすい基本理念に改訂を行いました。
 さて、医療を取り巻く社会環境は、昨今目まぐるしく変化しています。庄内地域では人口減少と少子高齢化がより一層進行することにより疾病構造が大きく変化し、様々な複合ニーズを抱えた方々が増加してきています。とくに高齢者の軽度急性増悪に対しては、迅速な対応により早い回復が期待されます。そのためには、医療・介護の情報の共有、在宅と救急の連携など、ケアマネージャーなどの情報を地域で共有することが重要となります。症状が悪化する前に医療・介護・福祉などが介入し、地域全体で連携を強化できるようなICTを活用したシステムのリデザインが必要であり、今後は皆様と協力して理想的なシステムを構築できるよう取り組んでまいります。
 人口減少と共に地域における新規入院患者数の減少、また高齢化の一環として、開業医の高齢化と減少も深刻化しています。看護師などの医療従事者の人手不足も課題となっており、今後の持続可能な医療体制を構築するためには、将来を見越した医療従事者の確保や医療提供体制の計画的な整備が急務だと考えます。専門的な急性期医療の集約化や地域医療災害への備えも重要であり、これまでの感染症対応を通じて得た経験から、地域全体での連携・情報共有が不可欠と言えます。
 これらの課題への対応には、医療DXの推進が欠かせません。これからも医療を取り巻く環境変化を的確に捉え、思いやりの心を大切に、患者さんとその家族、そして医療・介護・福祉関係者の皆様との信頼関係を深め、共に支え合いながら、より良い医療サービスを提供してまいります。
 基本理念のもと、職員一丸となって力を尽くしてまいりますので、今後ともご支援ご指導を賜りますようお願い申し上げます。