耳鼻咽喉・頭頸部外科

医師

松井祐興 耳鼻咽喉・頭頸部外科副部長
日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門研修指導医、日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医認定、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、難病指定医(耳鼻咽喉・頭頸部外科)、15条指定医、厚生労働省補聴器適合判定医師研修会修了、厚生労働省音声言語機能等判定医師研修会修了、臨床研修指導医養講習修了、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修修了、嚥下障害講習会修了、日本静脈経腸栄養学会TNTコース修了、ACLS(二次救命処置)研修修了、JPTECプロバイダーコース修了、日本医師会ACLS(二次救命処置)研修修了、ISLSコース研修修了、ICLSコース研修修了、PRIMARY CARE TRAUMA LIFE SUPPORT COURSE修了、山形大学医学部臨床准教授(耳鼻咽喉・頭頚部外科学分野担当)
鎌田恭平 耳鼻咽喉・頭頸部外科医長
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会耳鼻咽喉科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、難病指定医(耳鼻咽喉・頭頸部外科)、嚥下機能評価研修会修了、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修修了、厚生労働省指定オンライン診療研修修了
吉田祥徳 耳鼻咽喉・頭頸部外科医長
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会耳鼻咽喉科専門医、嚥下障害講習会・胃瘻造設時嚥下機能評価加算に関する研修修了、がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修修了
古山聖梨 耳鼻咽喉・頭頸部外科副医長

(更新日:2024年4月1日)

主な対象疾患

 当科は、耳・鼻・口腔・咽頭の疾患、声の異常、頸部の腫瘍、耳性めまい、顔面神経麻痺、唾液腺疾患の診察・治療を行っています。
 庄内地区の耳鼻咽喉・頭頸部外科領域の疾患に対して、入院および手術に関してほとんどの症例に対応しています。特に、悪性腫瘍、難病などの希少疾患に対する加療を行っています。また、緊急手術・緊急入院に対応しているため、外来診療の待ち時間が長くなることがあります。
 地域連携を重視し、急性期治療が終了した段階で普段の処置や内服加療などの日々の健康管理は、かかりつけ医に加療を依頼していく方針としています。

診療内容および特色

頭頸部腫瘍

 頭頸部癌(口唇および口腔、鼻腔および副鼻腔、咽頭、喉頭、唾液腺に発生する癌)は、胃癌、大腸癌、肺癌などと比較してその発生頻度は低く、平成26年地域がん登録による推計値は、人口10万人あたり口腔咽頭がんは男性21.6人、女性8.4人、喉頭がんは男性7.8人、女性0.5人、甲状腺がんは男性6.1人、女性16.1人と全癌のおよそ5%程度と考えられています。頭頸部には咀嚼、嚥下、発声、呼吸など生活機能に重要な役割を果たす臓器が多く、これらが障害されると患者さんの生活の質に深刻な影響を及ぼします。したがって、頭頸部癌に対する治療では、癌の根治と機能温存をいかに両立させるかが重要になります。当科では疾患別、進行期別の治療方針を決めており、それに則った標準的、あるいはその患者さんにとって現実的に妥当と思われる治療法を提示しています。患者さんやご家族に十分説明し、一つずつ納得しながら治療を進めていくことを大切に考えており、治療方針や手術術式によっては放射線治療科、形成外科、消化器外科、精神科、歯科口腔外科とのチーム医療を実践しています。また、セカンドオピニオンをお受けすることもできますし、場合によっては当院から積極的にお勧めするようにもしています。

令和4年1月から12月までの新患症例数
区 分 症例数
口腔がん 16例
咽頭がん 22例
喉頭がん 12例
鼻・副鼻腔がん 3例
甲状腺がん 10例
唾液腺がん 3例
その他の悪性腫瘍 28例
合 計 96例

耳科、聴覚 / めまい、平衡

 真珠腫性中耳炎、癒着性中耳炎などを含めた慢性中耳炎の手術を行います。当科では、経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES transcanal endoscopic ear surgery) を積極的に導入しています。 顕微鏡下に行う通常の耳科手術では、耳の中は狭いために耳の後ろを切開し、手前の骨を大きく削開する必要がありましたが、内視鏡を用いることで、広い視野で奥まで拡大して観察することが可能となり、狭くて複雑な中耳にある病変に対しても低侵襲な操作が可能となります。入院期間は、3~5日程度で行っています。また、病変が広範囲に及ぶ場合には、耳の後ろの切開が必要となりますが、顕微鏡と併用することでより良い手術を行うことができます。また、人工内耳手術などの手術は、当科で検査を行い、適応となりうる可能性がある症例については実施施設に紹介をさせていただきます。

 私たちのからだは、耳、眼、筋肉などから送られた情報を脳で統合して、バランスを保っています。これらの情報に異常やくい違いが生じたときにめまいが起こります。特に多いのが耳の障害で、内耳にある三半規管と前庭(耳石器)が体のバランスをとる情報を、前庭神経を通じて脳に送っていますが、これらの機能に異常を来すとめまいを感じます。また、三半規管と前庭の隣には、聞こえに関係した蝸牛があり、めまいと難聴は同時に起こりがちですので、めまいの原因を調べるためには、めまいを起こしているときの眼の動きを、特殊なメガネ型の赤外線カメラを用いて診断します。同時に、難聴の合併の有無を確認するため、聴力検査を行います。また、重心動揺計で体の揺れを測定したり、平衡機能検査(温度眼振検査など)を症例に応じて行います。さらに、めまいを起こす病気には耳をはじめとしてからだの各器官から送られてくる情報が集まる小脳や脳幹などに異常をきたす脳神経の病気などがあります。必要に応じてMRI、CTなどの画像検査を行っています。

鼻・副鼻腔

 難治性の副鼻腔炎に対しては内視鏡を利用して鼻の中からの手術を行っています。内視鏡を使った低侵襲な手術を基本としています。ただし、内視鏡手術とするわけではなく、手術前の諸検査の結果から、最良と思われる手術方法を決定しています。副鼻腔は複雑な構造をしており、眼球、視神経、頭蓋底に近接しているため、手術の難易度が高い方の場合は、安全に手術を行うために積極的にナビゲーションシステムを用いています。これは、手術中に器具の位置を術前に撮影したCT画像上に表示させるものです。また、術後の出血予防として、従来はガーゼで鼻腔内をパッキングしていたため抜去時の疼痛を認めましたが、止血被覆材に変更することで、疼痛の軽減となっています。

特筆すべき診療実績

令和4年1月~12月の手術数 合計490件

耳科領域 手術名 件数
鼓室形成術 3件
鼓膜チューブ挿入術 13件
人工内耳手術 0件
アブミ骨手術 0件
顔面神経減荷術 0件
先天性耳瘻管摘出術 5件
外耳道形成術 0件
鼓膜形成術 4件
乳突削開術 0件
試験的鼓室開放術 0件
中耳根本術 0件
内リンパ嚢開放術 0件
聴神経腫瘍摘出術 0件
その他 0件
25件
鼻科領域 手術名 件数
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅰ 2件
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅱ 3件
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅲ 29件
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅳ 45件
内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅴ 0件
鼻中隔矯正術 37件
鼻甲介切除術 72件
視神経管開放術 0件
涙嚢・鼻涙管手術 0件
眼窩吹き抜け骨折手術 0件
顎・顔面骨折整復術 0件
その他 0件
188件
口腔咽喉頭・
頭頸部領域
手術名 件数
扁桃摘出術 101件
舌、口腔、咽頭腫瘍摘出術 下記 1)-5) の計 34件
1)口蓋垂・軟口蓋形成術
0件
2)舌・口腔良性腫瘍摘出術
4件
3)舌・口腔悪性腫瘍摘出術
19件
4)咽頭良性腫瘍摘出術
3件
5)咽頭悪性腫瘍摘出術
7件
喉頭微細手術 21件
嚥下機能改善手術、誤嚥防止手術、音声機能改善手術 1件
喉頭形成術 1件
喉頭截開術 0件
その他 0件
頸部郭清術 29件
頭頸部腫瘍摘出術 下記 1)-13) の計 59件
1)顎下腺良性腫瘍摘出術
2件
2)顎下腺悪性腫瘍摘出術
0件
3)耳下腺良性腫瘍摘出術
5件
4)耳下腺悪性腫瘍摘出術
1件
5)甲状腺良性腫瘍摘出術 (VANS)
2件
6)バセドウ病手術
1件
7)甲状腺悪性腫瘍摘出術 (VANS)
8件
8)鼻・副鼻腔良性腫瘍摘出術
3件
9)鼻・副鼻腔悪性腫瘍摘出術
0件
10)喉頭悪性腫瘍摘出術
3件
11)リンパ節生検
28件
12)頸部嚢胞摘出術
2件
13)顎下腺摘出術
4件
その他 0件
88件
その他 手術名 件数
食道異物摘出術 0件
気管異物摘出術 0件
異物摘出術(外耳・鼻腔・咽頭) 2件
気管切開術 30件
32件
合計 490件