歯科口腔外科

医師

櫻井博理 診療部長(兼)歯科口腔外科部長
歯科医師臨床研修指導医、日本口腔外科学会認定専門医・指導医、日本有病者歯科医療学会認定医・専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医(歯科口腔外科)、日本歯科医師会認定産業歯科医、ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)、日本糖尿病協会 登録歯科医師、嚥下機能評価研修修了、日本経腸栄養学会 Total Nutritional Therapy Course修了、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了、歯科医師臨床研修制度・研修管理委員会・委員長研修修了、平成28年度 山形県警察歯科医会研修会修了、全国7地区日本歯科医師会 平成29年度災害歯科コーディネーター(災害歯科保健医療・身元確認)研修会修了、精密触覚機能検査研修会修了、プログラム責任者養成講習会修了
眞田昌尚 歯科口腔外科副医長
日本口腔外科学会口腔外科認定医、日本抗加齢医学会専門医
押切歌音 歯科口腔外科医員
加賀美健大 歯科口腔外科医員

(更新日:2024年4月1日)

主な対象疾患

  • ・口腔外科疾患(悪性・良性腫瘍、顎骨嚢胞、顎変形症、顎口蓋裂、インプラント治療、埋伏歯、外傷、炎症、粘膜疾患、顎関節症など)
  • ・全身疾患、有病者、障害を有する方の歯科治療
  • ・周術期口腔機能管理

診療内容および特色

1:診療内容

A)口腔における外科処置を必要とする疾患の診断と治療を担当します。
  • ・智歯( 親知らず) や過剰歯、歯・あごの炎症( 腫れ・痛み)
  • ・顎変形症( 顎の歪み、咬み合わせが悪い、歯並びが悪い)および唇顎口蓋裂
  • ・嚢胞および腫瘍( あごの骨や口腔内のふくろ状の病気やできもの)
  • ・外傷( あごの骨折や歯の脱臼や破折、スポーツなどによるケガ)
  • ・口腔粘膜疾患( 粘膜のただれや変色)
  • ・顎関節症(あごが開けにくい・痛い、音がする)
B)有病者歯科治療( 全身的な疾患をお持ちの患者さんの歯科治療)
心疾患、脳梗塞、糖尿病、骨粗鬆症などの基礎疾患を有する方の抜歯や歯周治療を医科歯科連携のもと行っています。

2:特色

A. 顎変形症
  • ・上あご(上顎骨)や下あご(下顎骨)の形や大きさの異常
  • ・両者(上顎骨と下顎骨)のバランスの異常

 これらに起因した、①噛み合わせの異常(不正咬合)、②言葉のわかりづらさ、③顔の変形(顔面非対称)などの状態を呈していることを”顎変形症”と称されます。
 顎変形症では、うまく噛めなかったり言葉が伝わりにくいなどの障害がでてきたり、”受け口”や”顔が曲がっている”などと言われて容貌に悩むことも少なくありません。

主な症状:

下あごが出ている、下あごが無い、受け口で噛めない、上あごが出て出っ歯、
笑うと歯茎がとても見える、前歯が噛み合わない、顔が曲がっている(歪んでいる)。

治療法:

 一般的に歯並びが悪い場合は歯列矯正治療で改善することが可能です。しかし顎変形症では土台の顎骨に異常があるために歯並びの治療だけでは改善しません。顎骨のずれ・異常を解消せずに歯並びを整えても治療に限界があります。したがって治療は、顎骨のずれ・異常を解消する手術(顎矯正手術)と歯列矯正治療を行います。
 当科を受診していただき顎変形症の疑いがあると診断された場合、近矯正歯科医院にて検査を受けて手術前矯正が開始となります。1~2年程度かけて歯並びを整えたら手術で顎の位置を矯正します。手術は約2週間の入院が必要になります。
 基本的に手術は口の中からのみ行います。手術後に再び歯並びの微調整を半年~1年かけて行い(術後矯正治療)、噛み合わせを安定させます。

注意:

 一般的な美容整形とは異なり、顎変形症治療は保険診療が適応になります。
 顎変形症治療はあくまで咬合と顎位(顎の位置)を改善することで顎顔面の持つ重要な機能の調和を獲得することが目的です。したがって整容の改善を主目的とする美容整形とは異なります。

【治療代表例:上下顎同時移動術を施行した上顎後退症・下顎前突症】

顎矯正手術前の口腔内所見写真<顎矯正手術前の口腔内所見>
顎矯正手術後の口腔内所見写真<顎矯正手術後の口腔内所見>

【顎矯正手術前後の頭部側貌X線写真(上記と同症例)】

術前頭部規格写真<術前頭部規格写真>
術後頭部規格写真<術後頭部規格写真>

B. インプラント治療
①保険診療によるインプラント治療(広範囲顎骨支持型補綴)

 腫瘍、外傷、顎骨骨髄炎などの疾患により顎の欠損が生じた患者さんには保険適応で治療が行えます。過去に手術を行った患者さんも適応となります。

②自費診療によるインプラント治療

 虫歯、歯周病、外傷などにより歯を失った患者さんが対象となります。
 入れ歯の安定が悪い場合はインプラントを使用した入れ歯製作も行っています。

【治療代表例①:インプラント併用顎義歯(保険診療)】

 上顎歯肉の悪性腫瘍のため上顎部分切除を実施。
右上顎が大きく欠損し、上顎洞(鼻)との交通を認める。(左写真)
義歯の安定を図るため左上顎にインプラントを3本埋入。
インプラントを利用した顎義歯を作製した。(右写真)

インプラントを併用した義歯治療の口腔内写真

【治療代表例②:上顎前歯部のインプラント治療(自費診療)】

 交通事故で上顎前歯を喪失。上顎にインプラントを2本埋入。

インプラントを併用した義歯治療の口腔内写真

C. 静脈内鎮静法を用いての抜歯処置

 複数の智歯や多数歯の抜去を一度に行う場合には静脈内鎮静法を併用して処置を行います。完全に意識がある状態とは異なって、少し眠った状態で処置を行います。

※静脈内鎮静法を行う場合には入院が必要になります。(1泊程度)

【適応症の例】
  • ・歯科治療、処置に対して不安が強い
  • ・両側下顎智歯(親知らず)の同時抜歯
  • ・多数歯の同時抜歯   など
D. 他科連携、救急時の対応
①他科連携

 当科では院内各科のほか、山形大学医学部歯科口腔外科・形成外科との協力体制を整えています。当科での患者さんの情報を大学病院と、ちょうかいネット( 医療ネットワーク) を使用し、共有することでよりよい治療を行える環境を整備しています。
 また、当科での診療情報を一般歯科医院の先生方と共有し患者さんがよりよい治療を受けやすいよう連携を強化しています。

②救急時の対応

 患者さんが口腔におけるケガ・出血・腫れ・痛みなどの急性症状を認めた際は紹介状の有無にかかわらず受け付けており、治療をさせていただいています。

ご紹介いただく際の留意事項

 簡単で結構ですので紹介状を患者さんに持たせていただくようお願いいたします。
 地域医療情報ネットワーク「ちょうかいネット」を活用しての医療連携をお願いしています。

特筆すべき診療実績

令和4年度診療実績

外来新患者数:3,661人(内,院内紹介1,847人)
入院新患者数:508人

中央手術室手術件数:100例
区分 手術件数
悪性腫瘍 13例
良性腫瘍 8例
顎変形症 8例
唇顎口蓋裂 2例
骨折・外傷 4例
顎骨嚢砲 6例
智歯抜歯 46例
その他 13例

学会認定研修施設:日本口腔外科学会、日本有病者歯科医療学会